冬の北海道。生徒にとっては、体育館の部活や体育の授業にとってヒーターは必須。
一方暖房管理は、職員にとって大きな負担です。
今回は「iPadで職員室から400m離れた体育館のヒーターを制御したい。」というご相談を受け導入に至りました。
本ブログでは、最終的に当社のシステムが選ばれた理由について紹介したいと思います。

まずはじめに
本システムは他社でありがちな「iPadで動いた!」と自負することがゴールではなく、メーカーの要望にあった「電気事故のリスク」を理解できているから導入に至った事例です。
もっと言うと、IT・弱電の両方のノウハウがあるからこそ導入できた好例でもあるのです。

是非最後までお付き合い下さい。
理由1. ローカルのLANで完結できたから
学校側からは導入にいたって、「校内LANとは別の独自のLANを利用すること」「モバイルルーターなども含め、インターネットは介さないでほしい。」という条件がありました。
理由はセキュリティー上によるもの。学校ですから当然、無理もありません。
LAN Bridgeで解決
そこでメインのコントローラーには、コマンドフュージョン社(豪州)のLAN Bridgeを採用しました。LAN Bridgeは、iPhone/iPadをクラウドを介さずTCPで直接接続できる当社の看板製品。

LAN Brigeを体育館側のアンテナと同一LANに配置することで、職員室のiPadとLAN Bridgeを同じLANで構築することができました。

理由2. ヒーターメーカーの「安全に対する要望」を満たしたから
一方、ヒーターメーカーである北海道オリンピア社からは、導入にあたり非常に強いご要望がありました。それは
「安全上、御社の装置が停電などで電源喪失した場合、必ずリレーを開放(OFF)してください」
というもの。
理由は明確で、万が一、ヒーターが停止しているのに制御側の接点がONのままだと、復電時などに空焚き状態となり、最悪の場合一酸化炭素中毒などの事故につながる恐れがあるからです。
当社の強みである「柔軟さ」が活きた事例
当社は瞬時接点ではなく常時接点(連続接点)としてリレーを開閉させる場合、そのコントローラーは通常、「リレーが閉じた状態で電源を喪失しても、そのまま保持するタイプ」を採用しています。
照明やポンプなど稼働している場合、瞬間的な停電などが起こってもこれらの機器の影響を最小限にするためです。
(下記Youtubeをご覧ください。電源が喪失しても照明は点灯したままのが分かります。)
しかし、今回の制御対象は熱源である「ヒーター」。 メーカーの指示通り、「電源喪失時には必ずOFFになる(フェイルセーフ)」動作が安全上の鉄則。
CF Miniの「I/Oポート」を応用
そこで今回は、機器標準の保持リレーは使用せず、設定によって挙動を自由に変更できるCF Miniの「I/Oポート」を利用。
CF Miniとは
- LAN Bridgeと同じメーカー(CommandFusion社)のリレーコントローラー
- リレーポート(x4)とI/Oポート(x4)を搭載
- 今回においてはリレーポートを使わずI/Oポートを利用
このように、接続する設備の特性(照明か、熱源か)に合わせて、安全な制御方式を柔軟に選択できるのも、当社のシステムの特長です。

実際の現場の写真
下の写真のように、I/Oポートの先に定番のオムロン製リレー(MY2)を接続し、それをヒーター制御用の接点として利用しました。
I/Oポートの出力はコントローラーの電源に依存します。つまりCF Mini本体の電源が喪失すれば、I/Oポートからの出力も物理的に停止するので、安全が担保される仕組み。

こうして、安全に対するご要望をクリアし、無事導入されました。
(写真に見える「①運転 ②燃焼…」の配線については、次のセクションで紹介します)
利用方法
iPadで制御するには自動に切り替え
写真ではわかりにくいですが「遠方制御」と「手元優先」の切り替えスイッチがあり、iPadで操作するには「遠方制御」に切り替えます。

写真は北海道オリンピア社の技術者との連動試験の様子。
運用実態として、400m離れた職員室からの遠隔操作を主とするため、通常時『遠方制御』設定で運用されています。
職員室からは「操作」+「状態確認」
下が実際のiPadの操作画面です。一番下に4つボタンがあるのが分かります。
- 運転スイッチ→押すと「運転」~「停止」が交互に切り替わります。
- 運転中→アンサーバック。運転中の接点信号を受けるとアイコンがオレンジ変化。
- 手元運転→アンサーバック。手元運転の接点信号を受けるとアイコンがオレンジ変化。
- 一括警報→アンサーバック。一括警報の接点信号を受けるとアイコンがオレンジ変化。

これによって職員室から状態を確認しながら操作することが可能に。
ちなみにこの暖房以外のボタンは、全て照明操作に利用されています。
まとめ
体育館のヒーターの課題はといえば、
・「生徒のために事前に温かくしておきたい。」
・「ヒーターを切り忘れると灯油代がもったいない。」
この両立が求められるということは、比較的容易に想像がつきます。
安全性を担保した設計こそが、採用の決め手でした。
本事例が、教員の方の移動負担を軽減するとともに、生徒の皆さんが快適に体育や部活に打ち込める環境づくりに貢献できたら幸いです。
本事例について
本事例の詳細は下記の導入事例でご覧頂けます。ぜひご覧ください。



