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【2025年版-電気工事士向け解説】2線式照明をスマホで制御!エニーライツが最適な理由

【2025年版-電気工事士向け解説】フル2線照明をスマホで制御!それはフルスマーターが適している理由
公開日:2025/02/23

こんにちは。本ブログは「スマートフォンでフル2線照明を制御したい。」とお考えの方の電気工事業者に向けたブログとなっております。導入においての流れや鍵となるWRT3224K、フルスマーターの役割を知って頂けたらと思って書きました。

動画で紹介

↓まずはこちらの動画をご覧ください。
フル2線(にせん)をスマホで操作。このシステムをグリーンワークスでは「エニーライツ」と称しております。(商標登録済)

動画をみて感じて欲しい点

  1. 既存の機器に対して後付けでパラレルで接続している点(迂回・割り込みが無い)
  2. スマホでも抜群な高速レスポンス
  3. ON/OFFするとスマートフォンのアイコンがリアルタイムで変化

1.フル2線(にせん)照明とは?(住宅照明との違い)

オフィス・病院・学校などの大規模施設でこういう赤・緑のランプのあるスイッチを見たことないでしょうか?これがフル2線(にせん)のスイッチです。住宅用のスイッチと少し原理が異なります。

フル2線(にせん)

住宅用 vs フル2線(にせん)

一般的な住宅用の照明の場合、壁スイッチが電気を入/切して照明をオン/オフさせます。
それに対してフル2線(にせん)の場合は、壁スイッチは電気を入/切しません。電気を入/切するのはリモコンリレーが行います。

フル2線(にせん)と普通の照明の違い

壁スイッチから送信されるのは、命令信号。
壁スイッチの配線が、細い制御線で済むため、フル2線(にせん)は、・病院・工場 ・学校などの大型施設で利用されているのです。

2. これがエニーライツの完成形

さてそのフル2線(にせん)をスマートフォンでの操作を可能にしたのがエニーライツ。
下記の図1がそのエニーライツの完成形です。フル2線(にせん)が分からない人でも気づいて欲しい点が1つあります。青の箇所はピンクの既存の後付けで追加されているという点です。

エニーライツの完成形図

とはいえ、図2はフル2線(にせん)が分かる人でさえ、初見では理解するのは難しいと思います。
ということで、この図2に辿り着くまでの過程をじっくり丁寧に説明します。

3.最大のメリットは「後付けで導入できる」という点

エニーライツの最大のメリットそれは「後付けで導入できる」という点です。
既存の照明の配線をぶった切って、何かの装置を間に迂回させる、ということは一切はりません。


既存のフル2線(にせん)に対して、パラレルで接続するのです。
実際施工すれば分かるのですが、接続はまさに増設というよりも合体です。

「後付けで導入できる」ということは障害に強い

このエニーライツは「既存のフル2線(にせん)に後付けで導入できる」と述べました。
この時、既存の配線を何か特殊なスマートスイッチなどに「迂回させる」といったことはしません。
つまり、後付けの装置に何か障害が起きたとしても、スマホでの操作ができなくなるだけ。
それ以外の影響はないというのが、エニーライツの凄いところであるとうことを知って下さい。

障害発生

冗長性 或いはRedundancy(リダンダンシー)と言います

4. 鍵はWRT3224K 接点入力T/U

それでは導入における仕組みと必要な機器を紹介したいと思います。
エニーライツ導入において、カギを握るのがこのWRT3224K 接点入力T/U。
簡単に言うと、無電圧接点を受けることで、フル2線(にせん)をオンにする装置です。

WRK3224K

無電圧接点とは電気制御の世界では、ごく当たり前に利用されている汎用性のある電気信号です。

【このWRT3224K 接点入力T/Uはの役目】

『無電圧接点を感知すると』
予め登録したアドレスのリモコンリレーが短絡(=照明がON)

『無電圧接点が開放されると』
→上記のリモコンリレーが開放(=照明がOFF)

WRT3224K 接点入力T/Uの主な使われ方

一般的には「人感センサー」「タイマーリレー」「状態信号を出力する機器(エアコンなど)」から出力される接点を感知(或いは非感知)することで、照明をON/OFFします。

・接点を感知すると→ON
・接点を感知しなくなると→OFF

接点入力T/Uの標準的な使われ方

ここがポイント。メーカーの純正であることがポイント。
スマホでリレー操作が得意としている当社が、この機能を放置するわけにはいきません。

5.「センサーのふり」をするフルスマーター

そこで当社は「フルスマーター」という機器を開発しました。
フル2線(にせん)に特化したリレー装置です。(16接点出力 + 16接点入力)

fullsmarter_1

ん??新手のスマートホームキットの登場?
「スマホで操作できないよ!(泣)」と言われても、断固サポートは拒否!

↓先ほど挙げた「人感センサー」「タイマーリレー」「エアコン」の代わりに、このフルスマーターが無電圧接点を送ります。

フルスマーターの信号は標準的

上の図において、フルスマーターからWRT3224Kに対して「無電圧常時接点」を送信。
接点が閉じている間は、照明がONに。
接点が開くと、照明がOFFになります。

【超重要】
・フルスマーターから出力される信号は、前述のセンサーなどと同じ信号
・WRT3224K 接点入力T/Uはメーカー純正品
・つまりこの方法はメーカーがサポートする手法ということになるのです!

なるほど。ただの接点を送ってるんだ。これは当たり前の使い方だ。
障害時の接点を送ってるかの切り分けはちゃんとしてね。

6. LAN Bridgeが必要な理由

フルスマーターはLANに接続できません。
LAN Brdigeを経由することで、構内LANへの接続を可能にし、専用アプリを使うことでスマートフォンでの操作を可能にしました。

LAN Brdigeを使って構内LANに接続

なぜLAN Bridgeが必要?

なるほど・・・。でも、フルスマーターって自社で開発したんでしょ?
なんでわざわざLAN Bridgeを介すの?
フルスマーターを社内LANに接続する設計にすればよかったじゃん!
それで儲けようとしてるの?せこい!

まゆみさんが思うのももっともです。
開発者の私自身、これに常に悩みましたが、あえてLAN Bridgeをかますことにしました。

LAN BridgeでIPの枯渇を防ぐ

その理由は大型案件の時の拡張性です。フルスマーターは大型の施設に導入されることを想定しています。フルスマーターは16接点。当然「16接点じゃ全然足りない」という現場も当然出てきます。
もしフルスマーター1台に対してIPアドレスを利用すると、どんどんIPアドレスが枯渇します。
同時にアプリ側のプログラムも複雑になるのです。

フルスマーターにIPを付与

LAN Bridgeを介すことで大型案件に対応!

↓そのため、フルスマーターLAN Bridgeをアタマにしてフルスマーター同士最大16台連結できる設計にしたのです。これによって大型案件でも対応可能にしました。

大型案件

(そのためフルスマーターにはIDを設定するためのディップスイッチがあるのです)

なるほど納得したわ!!

8.MY2の2つの役目

役目1.状態をスマホに知らせる

冒頭の図の完成図にあったオムロンのMY2。MY2といえば電気制御においては定番の装置です。
これは本システムにおいては重要なシステムに利用されます!

これがオムロンのMY2リレー。これの一次側(コイル側)を負荷と並列に接続して、フルスマーターの入力端子にするのです。

分かった!照明のON/OFFの状態感知に使うんだ!

MY2の役目

役目2. 魔の2度押し問題を防ぐ!

【超重要!!】
まゆみさんの言っていることは、半分正解。実はもっとMY2にはもっと重要な役目を担ってるのです。
これはディープなので次のセクションで説明します。

9. 魔のスマホを2度押し問題とは?

スマホの各ボタンにはトグルの命令が仕込まれている

各ボタンにはフルスマーターの特定のリレーに対して「トグル」つまり反転させる命令文が仕込まれています。これによって利用者は「押すと反転」という安心感のもと操作が可能になります。

トグル信号

「閉じろ!」でもありません。「開け!」でもありません。押したら「反転しなさい!」という命令が実行されるのです。

ふむふむ。それが自然な操作

壁スイッチの操作の後にスマホで操作すると2度押し問題が発生

魔の2度押し問題??何それ??

下の図はこのシステムの超概略図。前述の「スマホで操作するとフルスマーターのリレーが反転する」というのを念頭において。よみてみて下さい。
(ON或いはOFFは、全回路のことではなく任意の回路のことです。)
↓まずは全てがOFF状態で整合性が取れている。

整合性が取れている

↓図9の状態から照明をONにしてみましょう。(鋭い人ならここで何か気づくはず!)

整合性が取れない

では図10の状態で、あなたはスマホでその回路をオフにしたいとします。
その回路のボタンを押すとどうなるでしょうか?
(ヒント)スマホからは「トグル命令」つまり反転命令が送信されます。

分かった!!何も起こらない!
だってフルスマーターからのリレーは開いているから次は「閉じる」が行われる。
照明は既にONだから何も起こらないはず!

正解!

なぜ何も起こらない?

今照明はONになっています。一方フルスマーターは接点を感知していることでその状態(フィードバック)をスマートフォンに伝えます。これによってスマートフォンはアイコンが変化します。しかし次スマホで操作するとどうでしょうか?
トグルの命令が送られるのでリレーは閉じます。閉じたところで何も起こりません。
なぜなら照明は既についているからです。何も起こらないのです!

スマホで操作

↓もう一度スマホで操作することで、整合性が取れて全てがOFFになるのです

2度押しでようやく整合が取れた

フルスマーターは次に備えて整合性をとっている!

ここがフルスマーターの凄いところ。前述のような2度押ししないといけないという間抜けな使い勝手にならないように最初からその設定が仕込まれています。

フルスマーターには以下が組み込まれている

  1. MY2を感知したら→それに対応したリレーを閉じる
  2. MY2が開いたら→それに対応したリレーを開く

これによって、スマホと壁スイッチのどちらから操作しても、必ず照明が反転するようになっているのです。

まとめ

エニーライツの特徴をまとめました。

既存のフル2線(にせん)に後付けで導入できる

これは言わずもがな最大のメリット。WRT3224Kはフル2線(にせん)の壁スイッチに対してパラで接続。
後押し優先可能のオプション品であることから、このシステム自体既存の設備に後付けで導入ができるのです。

フル2線(にせん)をスマホで操作

全ての照明器具に対応

スマートライトは使いません。
大型照明などあらゆる既存の照明をスマートフォンで操作可能にします。

フル線式照明

ちなみにエニーライツの名称は「どんな照明器具もスマホで操作」ということからこの名前をつけました。

ワンショットリモコンにも対応

フルスマーターのにとっておは、ワンショットリモコンも同じです。
昔からあるワンショットリモコンにも導入がでいます。原理は同じです。

ワンショットリモコン

大型案件に対応可能

フルスマーター同士16個連結可能。1台あたり16回路制御できるので16 x 16で最大256回路をスマートフォンで制御することができます。

大規模施設

スマホでON/OFF状態を確認しながら操作

MY2の一次側(コイル側)を負荷(照明)と接続。そして二次側をフルスマーターの入力端子に接続。
これによって専用アプリに表示されたアイコンは、リモコンリレーのON/OFFに合わせて変化。
リアルタイムでON/OFF状態を確認することができます。