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エアコンのリモコン学習で知っておくべき事

エアコンのリモコン学習で知っておくべき事
公開日:2019/01/09

スマホを使ったホームオートメーションのことでしばしば「エアコンも操作できますか?」と尋ねられるので、今回のブログでなるべく分かりやすく書いてみました。

エアコン操作の動画

まずはこちらの動画を御覧ください。ダイキンのエアコンをiPhoneで操作しています。このエアコンは温度を変更すると、「温度が〇〇℃に変更されました。」と音声で返事してくれます。
iPhoneで温度を変更した温度にズレが無いことに気づいて下さい。

テレビとエアコンの「UP」ボタンの性質の違い

テレビの「チャンネルUP」ボタンの信号は「チャンネルUP」です

冒頭から「何を当たり前なことを?」と思われたかも知れませんが、最後までご覧頂けましたら幸いです。まずはテレビのリモコンのことから説明します。
今あなたはテレビの「8CH」を見ているとします。そして「チャンネルUP」のボタンを押すとテレビは「9CH」に変わります。
この時、リモコンから9CHの信号が出たのではなく、テレビが 「今8CHでチャンネルUPの信号を受信したから、俺は9CHに切り替えるぞ!」という処理を行ったです。まずこれを意識して下さい。

しかしエアコンの「温度アップ」ボタンはUPではなく「新しい温度」が送信される!

ところがエアコンの場合はそうではありません。
下の写真を見て下さい。今あなたの手元にあるエアコンのリモコンの温度が「24℃」と表記しています。そして「温度UP」のボタンを押したとします。

【エアコンはリモコンが処理する】

この時エアコンはテレビのように今24℃だから25℃に設定しよう!と処理しているのかというと違います。

ここで結論になります。
この時、リモコンからUPの信号が送られたのではなく、25℃の信号が送られたのです。
正確に言うと、エアコンにおいて「温度UP」を押した時、それは「温度UP」の信号ではなく、
「新しい温度」+「の風量」+「のモード(冷房/暖房/除湿)」+「の風向き(縦スイング・横スイング)」などなど・・・がまとめて1つの信号として送信されているのです。 

これによって、「リモコンの液晶表記」と「実際のエアコンの運転状態」と常に一致させています。

こうでもしないと、リモコンがエアコン本体に向けられないで操作する度に、「リモコンの表記」と「実際のエアコンの温度設定」とがどんどんズレていきます。

エアコンのメーカー純正リモコンは非常に手間がかけられている

エアコンのリモコンには、上の全ての組み合わせの信号があらかじめ登録されています。
何通りあるか計算してみましょう。

「温度 (18℃~30℃)の23通り」 「風量5段階」 「モードは冷房・暖房の2通り(除湿は除く)」 「風向き縦(ON/OFF)の2通り」 「風向き横(ON/OFF)の2通り

= 23 x 5 x 2 x 2 x 2= 920

なんと920通りの信号が含まれている!!

この計算には、除湿・OFFは含まれていません。加湿モードなどついているリモコンになると1,000を軽く超えることになります。
つまりエアコンのリモコンは非常に手間をかけて作られているのです。

なぜエアコンメーカーはこのような手間をかけているのか?

もう一度テレビの場合に戻ります。テレビはリモコンでチャンネルを変えた瞬間、私達は自分の目と耳で信号が正しく送られたことを確認しています。

ところがエアコンの場合、温度設定を1℃下げただけで、「よし冷たい風が出て来た!」と体感できる人はいません。(機械がそもそも追いつきません。)

だから、エアコンメーカーは、リモコンに液晶をおいて、その確認する対象を“風”ではなく“目視できるリモコン側”に置き換えたのです。
そして、前述のとおり「リモコン表記」と「本体」とを常に100%一致させることで、私達は、目で見えない温度・風量設定をリモコンで目視しながら操作することができているのです。
ついでにエアコン本体は、正しく受信すると「ピ!」という音を鳴らして、正しく信号を受信したことを知らせてくれているのです。

「エアコンの温度を変えられます」と宣伝している業者には注意

私は、「エアコンの温度を音声で変えられます。」という宣伝をみるたびについ疑ってしまいます。もしその業者が、「温度を1度上げて。」と話したときに「温度UP」の信号を発光する、という手法を取っていたら大間違いです。
皆さんも気づいたと思うのですが、24℃の時に「温度UP」を押した信号は「温度UP」ではなく「25℃」の信号だからです。

下の写真で「温度UP」ボタンを押したとき発光される信号は、「温度UP」ではなく、「25℃」の信号です。

つまり「温度を上げて」と話したときに「温度UP」を発光させていたら、それは100回発光しようが、1000回発光しようが、エアコンの温度設定は永遠に温度設定は25℃のままです。

実質エアコンメーカー以外は不可能?

これを回避するには、エアコン内のマイコン側の「現時点の温度設定」をキャッチして、かつ、
・20℃なら21℃に設定する。
・21℃なら22℃に設定する。
・22℃なら23℃に設定する。
・23℃なら24℃に設定する。

といったプログラムを組むしかありません。かなり高度な技術です。
これができるのは、開発費が潤沢な大手家電メーカー以外不可能と思っています。

なので「OK Google 24℃に変えて。」「OK Google 25℃に変えて。」と、温度を指定する手法を使う会社はまだ信用があると思っていいと思います。

エアコンの赤外線のコードはテレビよりも長くて複雑

(以下当社の宣伝になりますので、興味ある人のみ読んで下さい。)

エアコンの信号は組み合わせが多い事が分かりました。組み合わせが多いということは、重複しないようにエアコンのリモコン信号のコードはテレビよりも字数が多い、ということを知っておきましょう。

↓こちらはWoo(日立液晶テレビ)の「チャンネル+」信号(クリックで拡大)

↓こちらはダイキンエアコンの「25℃・冷房・風量オート・スイング無」の信号(クリックで拡大)

見ての通りエアコンの方がコードが長いのが分かります。
勇者1人でプレイするドラクエIよりも、3人パーティでプレイするドラクエIIの方が復活の呪文の文字数が多いのと同じなのです。

ちなみにドラクエ3の場合、復活の呪文を採用すると、800文字を超えるのでバッテリーバックアップシステムを採用した、と筆者が小6の時にファミ通に書かれていました。

だから性能の良くないリモコン学習器は、バッファー容量が少ないため、テレビのリモコン信号は学習はできてもエアコンだと学習できないのです。CommandFusionのIR Learnerは大容量バッファーと455kHzといった高周波まで対応した学習器です。
CommandFusionはもちろん、クレストロンにも対応しています。
https://greenworksjp.com/product/cf-ir-learner/

これまでダイキン・三菱・日立・パナソニック・東芝などの国内の主要エアコンメーカーは全て学習してきました。うまく学習できなかった事は1度もありません。

グリーンワークスの場合

グリーンワークスがエアコンのリモコンの学習を行う場合、

「風量はAUTOのみでご理解下さい。風向きのスイングなどは純正リモコンで行って下さい」
「その他細かい設定も付属の純正リモコンで。」
とご理解して頂いています。
これで学習を要する信号が1000通りが50通り以下になります。現場で対応できる作業時間に収まります。