エアコンのリモコン学習で知っておくべき事

スマホを使ったホームオートメーションのことでしばしば「エアコンも操作できますか?」と尋ねられるので、今回のブログでなるべく分かりやすく書いてみました。

1.テレビの「チャンネルUP」ボタンは「チャンネルUP」である!!

エアコンのリモコン学習の前に、まずテレビのリモコンのことから少し考えてみましょう。
なぜならテレビのリモコンの「チャンネルUP」ボタンと、エアコンのリモコンの「温度UP」ボタンとでは、その性質が全く異なるためです。
エアコンのリモコン

今あなたはテレビの「8CH」を見ているとします。この時、テレビのリモコンの「チャンネルUP」ボタンを押すと当然「9CH」に変わります。
この時「8CHの時に”チャンネル・アップ”を受信したら9CHに変える」というのは、テレビ本体が処理しています。当たり前のことですが、これを意識して下さい。
テレビのリモコン信号

2.エアコンの「温度UP」は「温度UP」ではない!!

ところがエアコンの場合はそうではありません。

例えば今エアコンの温度設定が24℃とします。そしてあなたが「温度UP」ボタンを押したとしましょう。この時エアコン本体が「お!”温度UP”を受信した!24℃だから25℃に設定しないと。」と処理しているのかというと・・・、そうではありません。

ここで結論になりますが、エアコンにおいて「温度UP」を押した時、それは「温度UP」の信号ではなく、
・温度(この場合25℃) ・今の風量 ・今のモード(冷房/暖房/除湿)  ・今の風向き(縦スイング・横スイング) など、まとめて1つの信号として送信されているのです。 エアコンのリモコン学習

これによって、「リモコンにある液晶の表示」と「実際のエアコンの運転状態」とが必ず一致します。
こうでもしないと、リモコン操作の際、エアコン本体に正しく向けられてない状態で操作することが1回でもあると、その発光は空振りを起こし無駄に終わってしまいます。そして空振りを起こす度に液晶表記と実際のエアコン本体の運転状態との間に差異が生じてきます。。
エアコンのリモコン学習

3.エアコンのメーカー純正リモコンは非常に手間がかけられている!!

つまりエアコンのリモコンには、上の全ての組み合わせの信号があらかじめ登録されています。
何通りあるか計算してみましょう。

【条件の例】
・温度 (18℃~30℃)の23通り ・風量5段階 ・モードは冷房・暖房の2通り(除湿は除く) ・風向き縦(ON/OFF)の2通り ・風向き横(ON/OFF)の2通り

= 23 x 5 x 2 x 2 x 2= 920

なんと920通りの信号が含まれている!!
この計算には、除湿・OFFは含まれていません。加湿モードなどついているリモコンになると1,000を軽く超えることになります。
つまりエアコンのメーカー純正リモコンは非常に手間をかけて作られているのです。

エアコンメーカーはなぜこんな面倒なことをしているのか?
テレビの場合、リモコンでチャンネルや音量を変えた時、自身の目や耳で「自分が押した通りにチャンネル(音量)が変わった」と即座に確認することができます。

ところがエアコンの温度設定を1℃変えた所で「よし温かい風が出てきた!」と即座に体感することは不可能です。
そこでエアコンメーカーは、その確認する方法を”風”ではなく”目視できるリモコン側”に持たせて、リモコンと本体との間に絶対に差異が出ない工夫を凝らしました。

前置きが長くですみません。短く言うと「風は目で見えないから。」です。
筆者もしばしば「ON/OFFのみでいいです。」という依頼を受けます。前述からONにも「温度・風量・モード・スイング」が含まれているので、「ON」という信号は存在しないのはご理解頂けたでしょうか。
(JEM-Aやワンショットでラストメモリを呼び出す方法になるが、いずれも赤外線ではない。)

このことを理解していないと、「”温度DOWN”を100回押しても全然冷たい風が出てこない。」ということになる。つまりどれだけ高価で正確なリモコン学習機を使っても、全く意味が無い。

4.エアコンのリモコン学習にはバッファー容量の高い学習器が必要

しかしまだ鬼門があります。。
組み合わせが多いということは、重複しないようにエアコンのリモコン信号のコードはテレビのリモコンと比べてコードが長いことを知っておきましょう。

↓こちらはWoo(日立液晶テレビ)の「チャンネル+」信号(クリックで拡大)

↓こちらはダイキンエアコンの「25℃・冷房・風量オート・スイング無」の信号(クリックで拡大)

見ての通りエアコンの方がコードが長いのが分かります。
理由は簡単です。パターンが多いと重複しないようにコードも長くせざるを得ない。勇者1人でプレイするドラクエIよりも、3人パーティでプレイするドラクエIIの方が復活の呪文の文字数が多いのと同じです。

話を戻しますと、性能の良くないリモコン学習器は、テレビは学習できてもエアコンとなるとうまくできないのはこのためです。

CommandFusionのIR Learnerは大容量バッファーと455kHzといった高周波まで対応した学習器です。
CommandFusionはもちろん、クレストロンにも対応しています。
赤外線学習器

これまでダイキン・三菱・日立・パナソニック・東芝などのエアコンメーカーを幾度となく学習してきました。うまく学習できなかった事は1度もありません。

5.まとめ

・純正リモコンの信号は膨大な信号のパターンが仕込まれている
・それらを全て学習するのは困難
・送信機側もエアコンのリモコンの特性を考慮したUI(User Interface)に仕立てなければならない。
・つまり実質機能を絞る必要がある
・学習にはCommandFusionのIR Learnerなど大容量バッファーの学習器が必要

グリーンワークスがエアコンのリモコンの学習を行う場合、お客様には

  • 「風量はAUTOで統一。スイングなどは純正リモコンで行って下さい」
  • 「どうしてもスマホで細かい操作したいならメーカー純正アプリで。」と割り切ってもらっています。

これで1000通りが50通り以下と、現場でもなんとか対応できる数字になります。

6.おまけ

CommandFusion社のIR Learnerの使い方を説明した動画。同社のエンジニアのAaron氏が学習の対象にエアコンを使っています。残念だがこの時2:10辺りでUPはUP、DOWNはDOWNで学習していますが、誤りです。
↓この学習方法だと学習した「UP」信号を何回発光させても、その時学習したのと同じ温度の信号が発光されるだけで温度は何も変わりません。

↓こちらはグリーンワークスが某現場で学習している様子。音声付きエアコンなので温度設定が正しく変わったのが容易に分かります。